
アルゼンチンのメンドーサ地方のワインには、他の産地とは異なる独特の特徴があります。
メンドーサワインの地理的・気候的特徴
メンドーサは標高500-1,500メートルの高地に位置し、アンデス山脈の麓という立地が大きな特徴です。この高地特有の気候条件により、昼夜の寒暖差が激しく、ブドウがゆっくりと成熟します。年間降雨量が200mm程度と極めて少なく、灌漑に依存した栽培が行われています。
無農薬・酸化防止剤無添加の観点からの優位性
乾燥気候の恩恵
- 湿度が低く病害虫が発生しにくいため、農薬使用量を自然に抑制できる
- カビやべと病などの発生リスクが他産地より格段に低い
清浄な環境
- 工業汚染が少なく、アンデス山脈からの清浄な水を利用
- 強い紫外線により、天然の殺菌効果が期待できる
他国との違い
フランス(ボルドー、ブルゴーニュ)との比較
- フランスは湿潤気候のため、有機栽培でも銅系殺菌剤の使用が一般的
- メンドーサは乾燥気候により、そうした処理の必要性が大幅に軽減
カリフォルニアとの違い
- カリフォルニアも乾燥地帯だが、メンドーサはより標高が高く、昼夜温度差が大きい
- この温度差により、酸化防止剤を使わなくても自然な酸度が保たれやすい
オーストラリアとの違い
- オーストラリアの主要産地は比較的平地にあるが、メンドーサの高地栽培により酸素濃度が薄く、酸化が起こりにくい
品種特性
メンドーサの代表品種マルベックは、もともと酸化に対して比較的耐性があり、酸化防止剤無添加でも品質を保ちやすい特徴があります。また、高地特有の強い紫外線により、ブドウ自体の抗酸化物質(ポリフェノール)含有量が自然に高まります。
栽培・醸造技術
伝統的な栽培方法
- 古くから有機的な栽培が行われてきた歴史
- 灌漑システムにより水分管理が精密で、病害リスクをコントロール可能
醸造面での工夫
- 高地の涼しい環境を活かした天然の温度管理
- 重力を利用した醸造(グラビティ・フロー)により、ワインへのストレス軽減
これらの自然条件と伝統的技術により、メンドーサでは他産地よりも自然に近い形での高品質ワイン生産が可能となっています。
